序章
エドワードは一度だけ、プレートの上に住んだことがある。
スラムの上に作られた夢の国。
母親が生きていたころ、彼はスラムの住人にしては珍しく弟と一緒にプレートの上の学校に通っていた。それもこれも、昔自分たちを捨てた、エドワードが心の底から忌嫌う父親の援助があったからだと。それに気づいたときには彼は博士号まで取っていた。天才と称されてもてはやす裏で、下劣な陰口、うわさ、嫌がらせ、人間どこに住んでいようと、性根が腐っていては関係ないと彼が割り切ったのは15で神羅の研究室に入社したとき。それからその研究室で、人間が際限なく堕ちる様を見たのは、その二年後のことだった。エドワード自身としても、嫌な経験ばかり積んできたと思う。この若さで、ここまで悟って。神羅をやめて、スラムに戻ってきた彼は生計を立てるために闇医者に。プレートの上のほうが確かに安全で華やかだったけれど、そこに居続ける気はなかった。一瞬でも居続けるのは苦痛だった。
あんなところ、早くなくなってしまえばいい。