参
初おしりえち編
「気持ち悪い…」
いつもより熱く感じる下腹部をさすりながら、エドワードは一人呻く。動くたびににゅるりと何かが出る感触、そういえば中だしされたときもこんな感じだったなぁ、と熱っぽい頭で考える。身体は重いし気持ち悪いし、心なしか血生臭いし、それに加えて断続的な鈍い痛み、詰まって滞る思考回路。機械鎧がこんなに鬱陶しかったっけと思った。すっかり自分の身体のように思っていたのに。
「鋼の、大丈夫かね?」
すっかりグロッキーなエドワードの髪を優しく梳く。その手がすごく温かく思えて、こういう何気ない仕種がきっと女心を擽るんだろうなぁ、と今まさに擽られている当の本人は。
「なんかだりぃ…」
「そうか、薬は飲んだ?」
「うん。あーあー…女の人って偉大だ…」
ウィンリィもホークアイ中尉もロス少尉も、母さんも師匠もみんな、よくこんなことを毎月毎月…ああ、だから男より強いんだ。かなわねぇよなぁ、精神修行だよこれ…。
「…ずいぶん、参ってるみたいだね」
「うっせ。お前もなってみろ。」
がぅ、と精一杯の威嚇、精一杯の厭味。我ながら上目使いでこの顔色だと、迫力はないだろうなぁとエドワードはあきらめていたが。
「遠慮するよ」
案の定笑って流されて、エドワードはそれ以上何も言う気がなくなって、頭をもう一度ぽてんと枕に預けた。
「なんか血生臭い…」
「そうかい?気にならないよ」
解かれて散らばった金の髪をすくって軽くキス。そんなんしたって今日は出来ないのに、とエドワードはあきれる。この男は、脊椎反射で女を口説いてるんじゃないだろうか。だからあんな、歯の浮くような台詞が出てくるんだ、絶対。
「そりゃあんたみたいにロリコンの処女キラーだったらさー、血の臭いくらい慣れっこだろうけどさー」
「…誰に聞いたんだね、そんな事」
「知らない人」
本当はハボック少尉以下、大佐が大事にしてるマスタング派の人たちのうわさなんですけどーなんていったら、この男は本気で拗ねかねないし(怒るならともかく、この男は拗ねるから性質が悪い)、優しいから黙っとく。というか、いっぱい口動かすのしんどい。エドワードは視点の定まらない視界を放棄して、ごそごそと頭からシーツをかぶる。ロイは、エドワードが丸まって出来た小さな膨らみを撫でながら、誰だ…といまだ一人ぶつぶつ思いをめぐらせている。そういう粘着質なところも変態なゆえんだよな、と思ったけれどしんどいから以下略。思考まで面倒くさいって…。
「エド」
慣れない愛称で呼ばれて、低くてエロい声、今そんなんで呼ばれても何も出来ないって、と小さく言って、ロイが笑っていき吹き出すのを聞きながら、顔は真っ赤ばれないようにシーツの中籠もって、ぎゅっと服を握りしめる。
「ねぇ、エド」
さっきよりエドワードの耳の近い所で声がする。スキル耳元で囁くってか。レベルも既にMAXですか。そんなんに俺が敵うかよ…。心臓がドキドキ言って、血が上った顔は既に真っ赤、暑くもないのに汗がたらりと背中を流れて、エドワードはとにかく早くこの動悸が収まるように願う。ぎゅっと目を瞑って、聞こえるのは体内をやたら流れる血液の鼓動、こんな恥ずかしい。急に冷たい空気が顔を撫でて、慌てて顔を上げ
たら、シーツの隙間から楽しそうに目を細めるロイの顔。だから、そんな目で見ないでって。
「…真っ赤だよ、可愛いね」
「っ――………!」
「ねぇエド。したいんだけど」
「………はぁ?」
「君があんまり可愛いから、ほら」
引っ張り出された左手を、すでに勃起しているのが傍目でもわかる股間に導かれて思わず顔を背ける。
「ね、困っただろう。」
「俺はアンタの変質っぷりに困ってんだよ…!」
「うん。だからしよう」
ロイは躊躇なくエドワードをシーツから引き出すと、唇から額、瞼、目尻、耳元、と丁寧に口付ける。首筋に沿って唇が下がっていく。唾液で濡れた部分に暑い息が掛かって否応なしに、エドワードは自分が感じているのを自覚する。
「や、めろ…俺今生理中なんだってば!」
「生で出来るじゃないか」
「オマエ、29にもなってそんな嘘知識信じてんじゃねぇぞ…!」
ホークアイ中尉が言ってたんだぞ、離せ、馬鹿、変態、ロリコン、…働かない頭で思いつく限りの罵詈雑言を並べてみるが、普段より柔な腕と回らない舌では、既にスイッチの入ってしまったロイを止めることは出来そうにない。
「やだってば、このど変態…!」
「…そんなにいや?」
右腕で胸板を思い切り押し返すと、さすがに顔を上げて尋ねる。その顔に一片の罪悪感も見えちゃいない、この大人の皮を被った子供は!
「いーやーだ!合意のないセックスはた・と・え・恋人同士でも強姦だからな!」
「合意してないのか?」
「いつしたよ!?」
「じゃあしよう。ほらほら。」
「一回死んで馬鹿直して来い」
言い切ってシーツを被るエドワードに、交渉の余地はないと悟ったのか、ロイマスタングはうーと呻る。一方エドワードは、予想(このまましつこく押し通されるかと思っていた)に反して、案外あっさり引いたロイに、拗ねたかな?とシーツから頭だけ出して様子を見る。ロイはそれにも気づかず、なにやら悶々と。
「そんな悩まなくてもさぁ、……終わったらまた出来るじゃん。」
少し優しい声で言う。エドワードも、生理さえなければセックスしたいわけだし、少し無下にしすぎたかと気を遣ったのだが。
「……鋼の」
「なに」
次の瞬間後悔した。
「後ろなら大丈夫じゃないかと私は思うんだが。」
「死ね」
脊椎反射で悪態をついてから、さてこの真性変態をどうするか、アルと中尉に助けを求めるかそれとも素直に憲兵に通報するか、エドワードは真剣に悩む。
「ほら、きっと大丈夫だよ、後ろは処女だし。やっぱり女の子はいいね、二回はじめてが味わえる。」
「………………」
沈黙は肯定じゃねぇんだ、心底呆れてんだよ気付けよ。
「だーからぁー、やめろ!」
服をたくし上げるロイの手、若くて綺麗な肌の下に詰まった脂肪が、ロイの手に当たってぷるんと震える。下着らしい下着はつけていないから熱くなった乳首に冷たい空気が触れてぞくっとして、その反応を味わうかのようにロイはエドワードのうなじに顔をうずめて。露になったまだ未発達な小ぶりな胸、ホークアイ中尉みたく大きいわけでも形が言い訳でもないのに、嬉しそうにそれを揉む。反対の手でわきの下、乳
腺を抑えて、ここを刺激すると大きくなるんだよ、と。
「アンタ、ほんと変態…」
「気持ちいいだろう?」
こりこりと、どちらかといえばマッサージされているような感触、気持ち良いと言われればそうなのか、わっかんねぇ変態の考えることは。
ズボンの中に入ってくる手、下着を下げられた途端空気に混じる血の匂い、さっきまで気もち悪いと思っていたそれが、なぜか急に。女になってから散々いじられた部分、触られる前から期待して濡れて、いつもの愛液とも普通の血糊とも違う匂いが混じった、どす黒い赤。強烈に生くさいのに、ロイは手についたそれを愛おしそうに舐めて、エドワードに差し出す。恐る恐る口に含むと、かすかに鉄の味。血が内股をつ
たう感触、エドワードは目を瞑る。やばい、すっごく欲しい。大きいロイの手、今は自分の口の中でうごめくそれが、今のどの奥にあるそれが、あそこに触れて、閉じた柔らかい肉を掻き分けて奥にまで入ってきて、そのまま掻きまわして――
「……もういいよ」
夢中で舐めるエドワードの口から手を引き抜いて、ぬらぬら光るそれでエドワードの後孔を撫でる。
「え……?」
「前は嫌だろう?」
ちょっとまて!という静止の間すら与えずに、ロイの指が侵入してくる。膣よりも固いはずの筋肉、力を入れても流れて溜まっていた血液でふやけて上手く締まらない。
というか、もしかしてこれ、こいつを喜ばしてるんじゃね?とロイの表情を見て不安になる。ひくひくしてる俺の穴、なんで、アンタは手を血まみれにしてそんな嬉しそうに。部屋に充満する生臭い血の臭い、空気まで赤く濃密。口の端に血を付けたまま、目を細めてエドワードをみるロイの顔は、まるで吸血鬼のようで。
「…怖い?前はずっとここに入ってたんだよ?」
「ひゃっ……やぁん!」
指で中を弾かれて、エドワードの身体が跳ねた。
「男の子と違ってここに性感帯はないんだけどね。どうして気持ちいいと思う?」
「あっ…あぁん、…やぁ…」
「裏から刺激が来るからだよ、ここ、気持ちいい?」
「あぁぁ!あ、ぁんっ……」
ぐちょぐちょ音を立てるたびに一層濃くなる血と膣液の臭い、太ももに一日が乾いて気持ち悪い。中途半端に脱がされたズボンも、黒いから判りにくいけどぱりぱりと血糊が効いて?新品みたい…嘘。
「ほら、もう2本入った…判る?前よりよく締まるね」
それって前ががばがばって事かよ、ねちっこい実況中継、競馬じゃねぇんだよほんと嬉しそうに言うのな、せめてなんかもっと興奮してればいいのに、冷静な分余計際だつ違和感。指2本で内壁を引っかかれて甲高い嬌声をあげる。一番欲しいところに直接来ないまどろっこしさに、自分からエドワードはシーツに内股をすりつける。
「足りない?欲しい?ここに」
言って、片手でエドワードの腰を押さえつけて言うロイ。執拗な後ろへの愛撫はそのまま、埋もれていない指を伸ばして、クリトリスの周囲をなぞる。
「ちっ…が、もっと、触って、ろい、ろい…ろい…!」
「うん、触ってあげるよ。可愛い…」
ロイにしがみついて、必死に叫ぶ。恍惚としたロイの声、耳元で囁かれて、力が抜ける。その熱っぽい声が好き。だからイかせて、もっと乱れた声聞かせろよー…。おやつをねだる子供みたいなノリで縋る。ぐちゃぐちゃいうの、とりあえず頭は真っ白、判ったのはロイが指を抜いたのだけ。あぁって呻いて抜けていく指に腰を押しつけたら、すごい嬉しそうな顔をしたこの独占欲の塊。
「入れて良い?」
こくこくと頷くと、違和感と共に圧迫感。違う、と思ったときにはあっつい熱の塊が侵入してきて。
「はぁ、あ、ああ、ああぁ!」
「ぁ……よく、締まるね。可愛い。こっちも気持ち良いだろう?前はこっちでイってたんだし。思い出した?」
おかしいだろ、これ、なんで俺女になってまでこんな肛門で感じて。排泄器じゃん感じるなよ俺もって、ハイセツキって響き、エロくね?なんか。にゃんにゃん喚いて呻って叫んで、気が付いたら夢の国。出して良い?のおきまりの台詞、中には出すな!と叫べたのか叫べなかったのか。叫べてても、あいつが聞くわけないけどな。聞いて、俺を嫌がらせたいだけ、すっごく歪んでると思うんですけど、その歪み具合に
参ってるんであえて文句は言いません。終わった後に文句なんざ、ムードがねぇだろ。ピロートークはうふふあはは言ってりゃいいんだよ、幸いのど仏も引っ込んだ可愛らしい声の俺、なんだよ、笑うな。