壱
初H編
まさかの通り魔。国家錬金術師ともあろう俺が情けないけれど、起きてしまったものは後悔しても仕方ない。的確な狙い――くっそ、あの通り魔、右手に注射針を打てば良かったんだ、そうしたら針なんか刺さらなくて、通り魔未遂事件で大佐との笑い話ですんだはずなのに。気絶して気が付いたら男じゃなくなってたなんて。笑えねぇ。まず、胸になんか付いてるって言うのが最初の違和感だった。恐る恐る自分で触ったら案の定柔らかかった。そこでまた気絶しそうになったけど、アルフォンスが居たから何とか踏みとど
まった。二の腕とかも、心なしか柔らかくて、あと、は、その、別に大きいとかすごいとか、そんな威張れるほどでは…なかったけど(うっさい!)、男のくんしょーってやつまで、勿論なくなってて。アルフォンスに説明しようにも、あいつには触覚がないから、胸触らせても分かんないだろうし、まさか屋外で服脱ぐわけにもいかねぇじゃん。露出狂じゃあるまいしさ。ぱっと見で判るんだったら良かったんだけど、服の上から判るほどでかい胸でもなかったし。(あー、俺って女になっても発育不良……)しかたないから、アルフォンスを引っ張って宿まで連れて行って(胸もそんなになかったから、顔見知りの宿の親父にも女になってたことはってバレなかった)服脱いで事情説明して。アルフォンスも一瞬気ぃ失いそうになったみたいで、途中反応が返ってこなくなって本気で焦った。ただでさえ肉体がないのに、魂までどっかとばさないでくれ。兄ちゃん、生きた心地がしねぇから。
大佐とホークアイ中尉に事情を話したら、とりあえずホークアイ中尉に医務室に連れて行かれた。大佐は話しもろくに聞かないでセクハラしてきやがったから、とりあえずしばいて転がしといた。あいつばっかじゃねぇの、恋人の一大事に。
「……ですから、そもそもどんな薬を投与されたのかがまず判りませんので――」
とまぁ、予想してた通りの反応で、あっさりと医師も白旗を揚げた。まぁ、当然だわな。ホークアイ中尉とアルフォンスがあれこれ何か医師と話し合ってる――俺はぼーっとしていた。女になったと言われても乳が付いてアレがなくなった以外、今のところ大きな変化はないのに、その実劇的すぎる変化。わかっていても、頭のどっかでこれは嘘だろっていう気持ちがあったらしい。必死になってる2人を見て漸う自分は本当に女になってしまったんだという認識、さて認識は出来たものの次に何をしたらいいのかも判らないからぼーっとするしかない。あれ、冷静な振りしてもしかして俺、この中で一番混乱してる?
執務室に戻ったら、簀巻きにされてたはずの大佐が復活してた。いつも通り椅子にふんぞり返って偉そうだったけれど、心なしか顔が青かった。どうやって抜け出したんですかってアルフォンスが真剣に尋ねてた。大佐はそれには答えなくて、俺に話があるから、と人払いをした。
「兄さん、危なくなったら声を出すんだよ?」
ってアルフォンス。おい。
2人きりになった後、大佐は俺の顔を見て大丈夫かと尋ねる。俺らが医務室に行っている間にそれなりに平静を取り戻したらしい。冷静になった分、事の重大さに気付いたらしくて(生憎俺はまだ混乱状態で、その事の重大さとやらには気付いていない。
女になったのは大変だけど、具体的に何が大変なのかまだ判っていない、判りたくない。)とりあえず今晩にうちに来なさいと言われたから、俺は素直に頷いた。
嘘。前言撤回。「事の重大さ」に大佐は気付いていなかった。
「…本当に女の子の身体なんだね…」
俺の未発達の胸を優しく揉みながら大佐が言う。悔しいくらい慣れた手つき、俺には胸がなかったのに、って思ったら大佐の女性遍歴を垣間見た気がして嫌だった。
「……アンタこの状況下で、よくこんな事出来るな…」
「こんなチャンスはまたとないだろう?」
少ないチャンスを生かさないととかほざきやがって、こいつほんとに脳味噌腐ってんじゃ、ないか。
……乳首すわれていつもより気持ちいいなんて思ってる俺も、もしかしなくてもしっかり同類。
「ああ、本当に女の子になって居るんだね?……ここは?」
「ひゃっ…あ、ぁん!」
ぬるり、と指が襞の間をなぞる。自分の身体であって、自分のものじゃないから、下がどういう風にこのエロ男に暴かれてるのかなんて、想像も付かない。思わず出た嬌声も、いつものかすれた声と違って、高くて甘い女の子のそれ。(やべ、今自分の声に感じた…)馬鹿か、俺は…。
「まだ触っただけだよ。もうぐしょぐしょだね」
「うっそぉ…」
もう意識は飛んでく寸前。視界が暗いのは前髪がたれてきたせいだと思ってたら、もしかして俺、これってイキかけてんじゃねぇの。よく分かんない、普段はそれでも何されてるかくらい判るのに。
「なに、触ってんの…?」
「クリトリス…文献で読んだこと位あるだろう、博識な君のことだから。感度は…こちらの方が良いか?感じすぎるから皮を被ってるんだよ?」
嬉しそうにんなこと講義すんな。この変態…。
頭真っ白にしながら、ピンポイントでそこを撫でられて、いつもと違う抉られるような快感、何これ女の子ってみんなこんななの?ぐっちゃぐっちゃ音がして、普段も早い方だと思うけど、まさかこんな………え。漏らした?
「ろ、い…俺」
「おや、撫でただけだったんだが。」
にやりと笑う顔。こいつむかつく…。思い切り睨んでやると、ロイの手が擦られてじくじくしたそこから離れる。俺は勿論足りなくて、思わずすっごい残念そうな顔をしてしまって、結果的にこいつを喜ばせてしまったようだ。唇がさらに吊り上がった。
俺の下半身は熱を持って涎垂らしたまま、足開いてはしたなくロイの愛撫を待ってるのに、こいつは涼しい顔して俺がはぁはぁ肩で息するのを見やがって(その視線に感じてるなんて俺も末期だな!)、動く気配がない。直接の刺激がなくなったから、頭の中はもやが晴れて冷静さを取り戻してるのに、放置されたそこが強烈に刺激を、ロイを欲しがっていて苦しい。欲しい。
「ロイ、やめちゃ、やだ……」
「…君が嫌そうな顔をしたんじゃないか。私は優しいから、無理強いするのは好きではなくてね」
………後で、右で殴ってやる。
「いや、じゃない、触って…」
「……可愛いね」
満足した顔。言っちゃ何だが、今の俺、胸もなくて細くてかなりロリ顔だと思うんだけど、そんなのにこんなん言わせて楽しいのかこいつ。
「あ、あぁ…ああ!いっ…ぁ、そこ、もっとそこ触って……」
「……可愛いね、鋼のは。」
汗が噴き出して、髪が額に張り付く。俺のは擦られ過ぎてもうそろそろ痛くなってきたけど、止めて欲しいとは思わないのが不思議だと思う。足の先までぴぃんと張りつめる。ロイの首に回した腕に力を入れる。女になっても機械鎧はそのままだから、力入れたら痛いかも知れないって後になって気付いたけど、このときは必死で、そこまで頭が回らなかった。ぐっとロイの頭を引き寄せたら、香水に混じってほのかに汗の匂い――エロい。そう思った瞬間、不覚にも俺は達した。
ぐったりして、もう無理とか朦朧とした頭で考えてるのに、目の前のこの変態は容赦なく俺の足を掴んで広げる。
「なっ…何すんだこの…ど変態!」
「変態って…開かないと痛いよ?」
「痛いって何が、だ…?」
「初めてだろう?君は。」
思い出したのはこいつとの初めてのセックス。あの時の、最近ではやっと慣れてきた、裂かれるような痛み。アレが侵入してくる激痛、窒息しそうな熱い塊、それからこいつの、普段見ることの出来ない熱っぽい瞳…違う違う違う!
「あんな痛いのか!?」
「大丈夫だよ、鋼の。優しくするから」
「あほか!」
「大丈夫だよ」
鋼の、と耳元で囁かれて腰が砕けた。なんつー声出すんだ、この男…。
「ちょ、ま、待て待て待て!」
「ん?」
人が狼狽してる間にこいつはその自慢の一物(既に臨戦態勢)をとりだして、あろうことか俺のぐちょぐちょのあそこに押しつける。すっげー熱、
「い?…いたい痛い痛い!」
この男、本気で入れやがった……!
「ほら、力を抜きなさい。大丈夫だよ」
「大丈夫、…な訳ある…か、あ、ぁ、…さ…裂けちゃう…!」
「……鋼の」
そんな優しく言ったって痛いのは痛いんだよ!
「やだ、やだ…痛い、あ……あぁ!痛い、やめて、痛い…!!」
「鋼の」
え、と思うくらい優しい声で呼ばれて、うっすらと目を開けると目の前にロイの顔。
いつもと違って真剣な表情、額に汗なんて浮かべちゃってて、それを見たらなんか俺。
「……何かおかしい?」
不思議そうな顔のロイ。今日こいつ、くるくる表情変わるなぁ。
「……ううん、別に。あ…し、開いたら痛くないんだっけ…?」
「うん、ごめんね」
申し訳なさそうなロイ、優しい手つきで目の端に貯まった涙を拭われて、俺はえへへと笑う。
「頑張るし、俺」
「……頼むよ」
言って、ロイが身体を進める。全部入りきったのか、ロイがふぅっと息を吐いた。
「動いても?」
おれはこくこくと頭を振る。もう、聞くなそんなこと。
「っ……た、……」
熱い塊が、内壁を抉る。後ろに入れられたときとは少し違う、襞が絡みつくような感覚。
これが快感?
「声は我慢しなくて良いから」
「我慢、ってたって…あ、あ……ぁふ…ん…あああ!!」
「可愛いよ、エドワード…」
痛いのか気持ちいいのか、もう区別付かなくて、俺は必死でロイにすがりついて、あんあん女みたいな声を出して(あ、今ほんとに女か)イった。最後の方は俺も覚えてないから割愛で。
「そういえば、内性器は女性のものなのかな?」
ゴムを付けていなかったという無責任最低男に、俺はとりあえず一発くれてやった。
今日のエドワードエルリックからの教訓。避妊はしましょう。(あれ、こんな話だったけか?)