可愛いね、愛しいね、と動物か何かでもあやしてるつもりなのか、その、一見愛のこもった口調とは裏腹に、手は容赦なく体中を這いずり回る。
口調とはかけ離れた執拗な愛撫に、快感より先に怖気を感じて俺はふるえた。
あいつは、大佐は、そんな俺の反応に(断じて快感に震えた訳じゃないのに)至極満足そうに微笑んで、愛してるよと優しく頬を撫でる。
「人の右腕と左足を壊しといて、あんた、まだんなこというの」
「愛じゃないか。私は君を手放したくない」
これのどこが愛だか。小さい子供がたまたま見つけた虫の手足をもぐのと変わらない。
愛といえばすべて許されると思っている、愛し方を知らないで愛を語る狡猾な大人。
そんなこいつの手を払うことが出来ない馬鹿な俺と。
「あいしてるよ鋼の、エドワード。」
異常なまでの独占欲。
「うるさい。」
そんなの愛じゃないじゃないか。
繋がれた左手首から先、握っても自分の体温を感じられなくて妙に冷たい。
力任せに先を外された右腕も付け根がじくじくと痛んで、思わず顔をしかめる。
「痛い?」
「いてぇよ。あんた俺に何したと思ってるんだ、こんな無理矢理!左手だって、とっくに痺れて感覚ねぇんだよちくしょう!」
「すまない」
俺に強く言われて、ロイの瞳が哀しそうに揺れる。
ごめん、ごめんな、でも俺じゃ腐りきったあんたの性根を癒してやることなんか出来ないんだ。
あんたのしてることは無意味なんだよ、駄目なんだ。
それは、あんたの親友の役目だったんだよ。
あんたからあの人を奪ったのは俺だけど、俺にはあんたの闇の部分まで共有してやる暇も度量もない。
だからって代わりを与えてやることも出来ないけど。だって俺はあんたのことを愛してるから。
ああ、じゃあこれは等価交換か。
俺の継ぎ接ぎだらけの半身が、あんたの偽りの愛と。