書庫
国立東方図書館の廊下。
設置された電話の前で、エドワードは嘆息した。
国立東方図書館・書籍一覧と金箔で銘打たれた分厚い本を小脇にかかえて、小難しい顔をして電話を睨んでいる。いつも隣にいるアルフォンスの姿はない。
「……かけたくねぇなぁ……でも仕方ねぇよな……どうしても許可が要るわけだし…」
低い声でぶつぶつと呟き、うんうんと頭をふる。自分で自分を納得させているらしい。
それでも納得しきれないのか、あー嫌だ、嫌だとぼやきながら、右手で受話器をとった。
手帳を出す様子はない。白い手袋に包まれた指が、滞ることもなく起用にダイヤルを回す。
小脇にかかえていた大きな本をかがんで壁にたてかける。
「あ、あの、東方司令部のマスタング大佐につないでいただきたいのですけれども。…いえ、軍部のものではないです…国家錬金術師の…コードは……」
事務手続きをして、エドワードは相手が出るのを待った。
そしてその声はすぐに耳元で響いた。
「やあ、鋼の。久しいね。」
「おう。あのささっそくなんだけど国立東方図書館の閲覧許可くれよすぐくれよ早くくれよ。」
「な、なんだね君は…」
早口にまくしたてるエドワードにロイはびっくりしたように言った。
「そんなに許可が欲しいなら直接取りにくればよかろう。」
「そ、そうだけど……それは嫌だ。あんたが来い。」
エドワードが言うが、ロイは受話器の向こうで嘆息した。
「こんな時間にかい?私は仕事中だよ、鋼の。」
「……。」
それはそうだ、とエドワードは胸中で呟いた。
さすがにこの時間帯に司令部を抜け出せるほど東方司令部も暇ではないだろう。
それに、そんなことは彼の副官が絶対に許さない。
エドワードの脳裏のにその副官が思い出される。自分とは少し違う金髪と、鷲色のするどい瞳、白い肌に艶のある唇。
冷静に、客観的に美人だと思う。
「じゃあいい。やっぱいいや。」
「来るかい?ここに。」
ロイが忙しいのは嘘ではないらしい。
会話の後ろで声がとびかっているのが受話器越しでも聞こえた。
受話器の向こうのロイの声にムラがあるのは、時々後ろの誰かの会話を挟むからだろう。
エドワードはしばらくそれを聞いていた。が、
「…ううん。俺ここで待ってる。」
「………待ってる?どういう意味だね、鋼の。」
「だから、あんたが仕事終えて図書館に来んのを待ってるよ。」
「………。」
呆れたような顔してんだろうな、とエドワードは考えた。
自分でも自身の言葉に呆れてしまう。わがままな発言にしか聞こえないし、その通りだと思う。
けれどエドワードは、東方司令部に行ってロイの許可をもらおうとは思わなかった。
受話器の向こうで誰かがロイを呼ぶ声がする。
エドワードは、眉根をよせた。
「待ってるから。」
「ちょっと待ちなさい、はが…」
ロイが言葉を言い終わる前に、エドワードは受話器を置いた。
図書館の裏口を選んで、エドワードは階段に座って空を見上げた。
夕方。もう日は傾き出してしまっている。
図書館が閉館するのは五時。彼は時計を持っていないが、気温の下がり方と太陽の位置から考えて、現在四時半だと判断を下した。
中央口とは違って、裏口は図書館職員か軍関係者政府関係者くらいしか使用しない。目の前の道路は一方通行で車はあまり通らないし、歩行者もほとんどいない。
電話のあと、もうどれくらい待ったろう。
コートを着ているから寒いことはないが、何もしているのが性に合わない彼は、退屈そうに石ころを拾って投げた。
その、投げた石ころの少し先に、黒いジープが止まった。
軍属の車。エドワードは反射的に立ち上がった。
車からは予想通り、ロイ・マスタングがおりてくる。
彼は、すぐにエドワードを認めると、ドアに鍵をかけて彼の元へ歩いてくる。
「………全く君は……」
言いながらエドワードの横をすりぬけそうになるロイに、エドワードは焦った。
怒っているのかもしれない、と。
何か弁解しなければと考えて口を開いた瞬間、ロイの大きな手がぱふぱふとエドワードの頭を叩いた。
優しい手に驚いて見上げると、ロイは、しかしエドワードの方は見ずに、
「久しいな、鋼の。会いたかった。」
ロイの横顔の笑顔に、途端にエドワードは嬉しくなった。
受付で、ロイは閲覧許可を二人分取った。
「閉館時刻などなんとでもなる。」
地下書庫の階段を下りながら、ロイはエドワードに言った。
「ごめんな大佐……わざわざ来てもらって…」
でも一緒にここまで来てくれなくてもよかったのに、と言う。
エドワードは気を使って言ったつもりだったが、ロイは、つれないことを言うね、と呟いた。
「君が本を読んでいるのを観察するのが私は大好きなんだよ。」
ロイはそう言ってエドワードに微笑んだ。
エドワードは、久しぶりに見るその笑顔に、身体が熱くなるのを感じた。
頬が紅潮していくのが、自分でもわかった。
「ば、ばかッ…」
小さく呟いて、エドワードは俯いたままロイをするりと追い抜かした。
こんなにも過敏に、しかも明確に反応してしまうのをなんとか誤魔化したつもりだった。
扉をあけると、古い書籍の匂いが二人の鼻についた。
エドワードは、その匂いが嫌いではない。むしろ好きだった。
大きく鼻をふくらませて深呼吸を繰り返す。
「んー……本の香り…」
「そうかね、湿っぽくて私は好きではないな。」
対照的に、その後ろでロイは顔をしかめてみせた。
「静かなのは美点ではあるがね。」
エドワードは本棚の数字を追いかけながら奥へ進む。
987、987、と呟いているのを聞きながら、ロイもそれについて歩いた。
書庫に入るのは何年ぶりだろう、そんなことを思う。
「あ、ここだ…」
目の前をゆく小さい体が突然立ち止まって、ロイは焦って足を止めた。
エドワードは、分厚い本を抜き取って、ぺらぺらとめくりだす。
後ろから覗き込むと、びっしりと書き込まれた文字と、数々の図形。
錬金術と、医術の複合技術についての本らしい。確かにそれはロイの知的好奇心をくすぐったが、それだけだった。
「鋼の、あっちにテーブルがあるから。」
「ん。」
エドワードは短く返事をして、前も見ずに歩き出した。
彼自身、ここへは何度か入ったことがある。
ロイと一緒に入るのは初めてだったが、案内されるまでもなく閲覧スペースの場所くらいはわかる。
文字を追いながらすたすた歩くエドワードの後ろを、ロイはある意味感心しながら続く。
エドワードはそのまま椅子をがらがらと引いて、本を丸テーブルにどんとのせた。
じっと、真っ直ぐに本を見据えて読む。時々何か呟きながら。そして時々、取り出した手帳をめくりながら
ロイはエドワードの目の前の椅子に座った。
俯いたエドワードの金色の瞳を、透き通るような睫毛が覆う。
唇は少しだけ開かれ、その間から白くて小さい歯がちらちらと見えた。
ページをめくる指先は、いつもロイが一緒に出かけるような女性のものとは違っていた。
もともと白い肌は少し日に焼けたようで、爪は丸く切りそろえられている。
長くはない、むしろどちらかというところころと丸い印象を受ける指がぺらり、ぺらりとページをまくる。
ロイは飽きもせずに、その様子をただじっと見つめていた。
一時間弱、区切りのいいところまで読み終えたらしいエドワードがページをめくりながらちらりとロイを盗み見て、目が合った。
「?」
ロイが小首をかしげる。口元には笑み。
エドワードは目線を外すに外せなくなって、あー…と呻いた。
「あの……あんたも何か読んだら?」
しかしロイは頭をふった。片肘をついて、そこに顎を預ける。
「私は結構だよ。私は君を見ているのが好きだから。」
「………あそぅ…」
どうしてこうも臭いセリフが吐けるのかと、エドワードはいつも思う。
自分は自分のことで手一杯なのに、目の前にいる男は相手の動揺を誘って遊ぶ。
エドワードはなるべく顔を見られないようにと、さきほどよりさらに俯いた。
しかし、それは動揺していることを相手に如実に伝えてしまうことにしかならないわけで。
ロイは、そんなエドワードの行動に苦笑した。
普段は天才だと騒がれる最年少国家錬金術師の年相応な姿は見ていて微笑ましいし、いとおしい。
そんなことをされると、ロイはついついからかいたくなってしまう。
「可愛いね、鋼のは。照れているのかい?」
「て、照れてなんかねぇよ…」
しかしエドワードの頬は明らかに赤い。
さらに見られているのを意識しだしてからは、ページをめくる速度ががくんと落ちてしまった。
指先すら色づいて見えるのは私の錯覚だろうか、とロイは思う。
「あ、あんまし見んなよ。集中できねぇ。」
あくまで視線は本に向けたまま、エドワードが言う。
ロイはにこにこ笑いながら椅子をひいて立ち上がった。
その音に思わずエドワードが顔をあげる。
「な、何…?」
その質問には答えずに、ロイはエドワードのすぐ側の席に座りなおした。
距離が近くなって、エドワードはその金色の瞳を見開いた。
「な、なんだよ、何か用かよ…」
「君を近くで見たいだけだよ?鋼の。邪魔はしないから続けなさい。」
しゃべられただけで彼の吐息がいちいち顔にかかりそうなくらい近くに椅子を寄せて、ロイが言う。
エドワードはこそこそと椅子を離して距離をとった。
「それが邪魔なんだよ…」
呟くが、ロイは気にした様子もない。
「そうだ、鋼の。一つ、聞いてもいいかい?」
「……何?」
すっかり集中力を欠いてしまったエドワードは右肘をテーブルに立てて頬杖をついた。それはロイをさえぎる形になる。
視線は完全にロイを避けていた。
「君は今日、書庫の閲覧許可をとるのにわざわざ私を呼び出したね?司令部には来ないで。」
「……。」
エドワードは何も言わない。
「何か理由があるのかなと思ってね。それが気になっていたのだよ。」
ロイの言葉にエドワードはしばらく無言で考えた。
今日、東方司令部に行かなかった理由。行きたくなかった理由。
それがあまりにも子どもっぽすぎる気がして、エドワードは言葉にすることを躊躇った。
これを言うと、ロイに嫌われてしまうと感じた。
しかし、エドワードは嘘を吐く気にもなれなかった。嘘を吐いたところで、ロイにはすぐにバレるだろうし、その方がみじめだ。
ロイはエドワードの顔を覗き込んだ。
「鋼の?」
「聞いたらあんた呆れるぜ?」
「そんなことはない。君はまだ子どもなんだからわがままを言いたいときもあるだろうしね。」
「子どもゆーな!」
きっと睨むエドワードの視線を笑顔でさらりとかわして、ロイが答えを促す。
エドワードの視線は何かを探すように落ち着きなく動いた後、ぽつりとこう言った。
「大佐がみんなと仲いいから。」
「…え?」
「みんなと仲がいいから、見たくなかったんだ。」
頬を赤く染めていう彼に、ロイは驚いた。
まさかこんな回答が返ってくるとは思っていなかったらしい。
「なんか……みんな俺に優しいけど、でもなんかゲストっていうか…仲間はずれっていうか……」
エドワードは、そんなロイの様子には気付いていないらしい。
俯いたまま、続けた。
「俺の知らない大佐がいるっていうか……俺の大佐とられたっていうか………その……」
言っているうちに、エドワードの耳までが真っ赤に染まる。
ロイは、その言葉と、その反応に目を見張った。
その赤く染まった耳をひっつかみたい衝動にかられた。
可愛い。どうしようもなく可愛いと、そう思った。
エドワードは、ちらりと目線をあげた。
その、彼自身は狙ったつもりはないであろう上目遣いにロイは焦りを覚えた。
「た、大佐…?」
驚いたのはエドワード。
嫌われるか、馬鹿にされると思い込んでいたのに、見ればロイはどこか呆けたように、口をぽかんと開けて自分を見ている。
エドワードは眉を寄せた。小首をかしげる。
「た、大佐?ど、どしたの?」
そう言って本気で心配するエドワードの顎を、ロイは勢いに任せて掴みあげた。
金色の瞳が、さらに驚きで大きく揺れる。
な、何?と小さく呟いた唇に、ロイは自身の唇をかさねた。
「ん!?んんッ……」
苦しそうにうめく声が聞こえる。
ロイはその声にのせられるように、舌をエドワードの口内に挿入した。
小さい歯列の後ろに、戸惑うように強張ったエドワードの舌がある。
それは小さく、ロイの舌と触れ合うとぴくりと奥へひっこんだ。
ロイはかまわず舌をからめ、唾液を流し込んだ。
後ろでゆるく結ったみつあみを梳いて、その髪を撫でる。
長い長いキスの後、ロイは少しだけ顔を離した。
エドワードが抗議の声をあげようと口を開くが、それを予想していたロイが2本の指をつっこんでしまった。
「ッ……むぐぅ…!?」
「騒いではいけないよ、鋼の。閉館時間はとうに過ぎているのだからね。」
エドワードのジャケットをするりと脱がせたロイは、耳元でささやいた。
エドワードは、その熱い吐息に全身を奮わせる。
ロイとセックスをすることは嫌いではない。けれど、こんなところでするなんて、彼にとっては予想外だった。ありえないことだった。
エドワードの頭は、激しく混乱している。
ロイはそのまま彼の耳たぶに優しく噛み付く。
手は服の中にいれられて、彼の乳首をはじくように弄んだ。
ロイの指に口をふさがれたままのエドワードは身体をのけぞらせる。
「んっ…んんっ…」
長旅の末、正直そういう行為に飢えていたエドワードにとって、この突然の刺激は強烈だった。
脳内で道徳意識が警笛を鳴らしている。しかし一方で、その警笛すら快楽へ転換しようとしている。
ロイは、真っ赤に染まったエドワードの首筋に吸い付き、いくつもの痕を残した。
手が乳首をつまみあげると、エドワードは目をぎゅっとつぶって悶えた。声にならない声を漏らす。
ロイは、可愛いね、と呟いて口内の指をひきぬいた。
もうエドワードには、抗議する力はなかった。が、それでも理性を総動員して、彼はロイを睨んだ。その目は真っ赤に潤んでしまっていたが。
「やめろ、馬鹿ッ変態ッ!!こんなとこで……何のつもりだよっ……」
しかしロイはやめるどころか、エドワードの唾液に濡れた手でベルトを器用に外した。ズボンをずらして、下着の上からゆるゆるとエドワードの性器を扱く。
性器は、ロイが愛撫する前から少し硬くなっていた。
「もうこんなにして……そんなに私に会いたかった?」
耳にかかるロイの低い声と吐息に、エドワードは気が狂いそうになる。
指摘された通り、エドワードはロイに会いたかった。
ロイとセックスがしたかった。
でも、決してこんなことを想像していたわけではない。
エドワードは、柔らかいベッドの上で、ロイの腕に抱かれながら、優しく、ゆっくりと愛撫されるものだと思っていた。
それなのにまさか、こんなところで。
「や、やだっ……た、大佐っ…」
エドワードは太腿をすりつけて股を閉じようとした。
腰を引いて逃げようとするが、ロイはエドワードの性器をさらに強く握った。
その、布一枚越しの歯がゆい愛撫に、エドワードは羞恥心を煽られた。
「ぁ、あぁッ……ぃや…」
唇から、艶っぽい声が漏れる。
「パンツが湿ってきたね……もう濡らしてるなんて…」
ロイは、羞恥心に震えているエドワードの耳に吸い付いた。
「いやらしい子だね」
「ち、ちがっ……ひぃ……ッあ、あぁん…!」
否定すらままならないエドワード。
ロイは、下着の中に手をいれて、エドワードの性器を直接愛撫しだした。
「小さいのにこんなになって……ほら、私の手の中ですぐに大きくなってくれるね。可愛いよ…」
「あっ…ひぁんっ…や、やぁ…」
瞳が涙でかすむ。エドワードは瞬きでその涙を落とした。
ロイがそっと、その頬を流れる雫を舌ですくう。
それからエドワードの椅子を少しずらして、ロイは彼の股の間に顔を埋めた。
「ほら、いってもいいよ?私が全部飲んであげるから。」
「なっ、い、いやッ………あぁんっ!」
ロイがエドワードの性器をぱくりと口にふくんだ。
ぴちゃぴちゃと、わざと濡れた音をたてて愛撫する。
時々エドワードの顔を見やると、彼は唇の端から唾液をこぼしていた。
その姿に、普段冷静なロイですら身体が熱くなった。
久しぶりに会えたエドワードの、こんな姿を見てしまっては冷静でいられる方がおかしい、と自分自身に言いわけする。
「ひ、ひぃぃッ…ああぁんッ!!」
尿道を吸い上げるようにすると、エドワードが一際大きな声で啼いた。
精液を、ロイの口内に吐き出す。
「はぁ…はぁ…」
射精の疲労感に、エドワードは全身をだらりと投げ出した。
ロイは、口の周りについた白い液を手の甲でぬぐう。
「へ、変態…」
悪態をつくが、ロイはにっこり笑うだけで取り合わない。
「たまらなく愛しいよ、鋼の。君がこんなに淫乱だとは知らなかった。」
「いッ…インランなんかじゃねぇ…」
否定する声すら弱々しい。
ロイはそんなエドワードの額に優しく口付けた。
「たまっていたくせに。君のはものすごく濃かったよ?」
「っ…!」
ロイの言葉にエドワードは赤面した。
「できなくて辛かったろう?私も辛かったよ。」
言いながら、指先でエドワードの性器に少し残った精液をぬぐった。
濡れた指先を、そのまま後ろへ沿わせる。
「ぃっ……あぅ…や、やだ、もうやだっ…こ、こんなところで……」
エドワードが言うが、ロイにはやめる気など毛頭ない。
エドワードの肛門を直接ではなく、少しだけはずして、ゆっくり撫でる。
「こんなところでさっき君は射精したじゃないか……あんなに気持ちよさそうに。」
「だ、だってアレは大佐がっ…」
もどかしい愛撫に、エドワードは身悶えた。
さっきイったばかりの性器が頭をもたげる。
苦しい。エドワードはそろそろと腰をすすめた。
「う……くぅん…」
「おや、何かね?直接触ってほしい?」
図星をさされて、エドワードは固まる。
「ち、違う……そんなの…」
「でもほら、こんなにひくひくしてるよ?」
「っあ…ぁんっ!」
入り口に指の先を少しだけいれらてかきまぜられる。
エドワードはそれだけでもうだらだらと先走りの液を流した。
「ひぃぃんっ…じ、焦らすなっ……あぁ…」
エドワードの理性が、熱い湯に溶かされていく。
腰に力が入らなくなって、エドワードはずるずると椅子からずり落ちた。
ロイは一旦指を引き抜き、エドワードを前に抱えた。
「ひぁっ、な、何…?」
ロイはしかし答えずに、そばにあった長いすにエドワードを寝かせた。
両足を掴んで開き、そのまま身体を屈折させた。
身体の柔らかいエドワードは、その両足を胸のあたりまで折り曲げて、勃起した性器も、ひくつかせた後孔もすべてを露にした。
「や、ぃや……見るな…」
涙目で顔を逸らすエドワードに、ロイは慣らす、という行為をすっかり忘れてしまった。
そのまま自分のものをとりだして、エドワードの肛門にあてがう。
ロイの性器も、エドワードのように硬くなっていた。
「可愛いね、鋼の。そんな格好をされては我慢がきかない。」
挿れるよ。と優しく言って、ロイは思い切り奥までぶちこんだ。
今までゆるゆると与えられていた快楽が、突然苦痛に変ったエドワードは、痛みに腹の底から叫んだ。
「ぃッ……ぎぃあぁぁぁぁ!!い、いだいっぃだい大佐い゛だっ…ぃい…!!」
顔を歪める。拳を強く握りしめたエドワードは身体を仰け反らせる。
ロイは挿入した性器を少しだけ動かした。
「鋼の……力を抜いて?あぁ、君の中はこんなに暖かいんだね……」
ロイの目は優しく微笑んでいた。
「大佐、大佐抜いで…ぬい゛っ…」
涙声での嘆願も、今のロイにとっては快楽を煽るものでしかなかった。
性器を一気にぎりぎりまで引き抜いたと思ったら、また奥まで挿入する。
それを何度も何度も繰り返した。
そして、そのたびにエドワードが啼く。
その声が、ロイの耳に心地いい。
「ああ、可愛らしい声だね、鋼の。もっと聞きたい…」
小さく揺すられるがままのエドワードの身体をぎゅっと抱きしめて、ロイはねっとりと絡みつくようなキスをした。
エドワードの声に艶が混じる。
痛みを伴った快楽へ、エドワードの身体が順応していく。
「あぁ……あぁんっ……ひぃ…た、大佐ぁ…お、俺…ぃ、イ…っ」
「イきそう?かまわないよ、イっても…」
そう言って、激しくピストンしながら、タンクトップを捲り上げて、その小さい乳首に吸い付いた。
瞬間。
「ひぁああんっ!!」
エドワードがたまらなくなって精を吐き出す。
その瞬間、エドワードの中がきゅっとロイの性器を締め付けた。
ロイの余裕が奪われる。
「っ……鋼の、中に出すよ…?」
ロイは思い切りエドワードの奥に、大量の精液を放った。
ぐったりしたままのエドワードを、ロイは自分の身体の上にのせた。
丁度、さきほどの体制から上下を逆にした形になる。
「鋼の?」
いまだぐったりしているエドワードの髪をそっと撫でる。
エドワードはきっとロイを睨みあげた。
汗で前髪が張り付き、息はまだ荒い。
頬は、ほんのりと桃色だった。
「変態…」
「すまない……君があまりにも可愛いことを言ってくれるから…」
「な、なんだよソレ…」
唇をとがらせるエドワード。
ロイはそんな彼の額に口付けた。というよりもその汗をぺろりと舌で舐め取った。
「嫉妬してくれたんだろう?」
「嫉妬……?」
「今日君が司令部に来なかった理由だよ。」
にっこり笑うロイに、エドワードは戸惑った。
「あ、あれはただのわがままで……その…し、嫉妬とか……よくわかんねー…」
エドワードには嫉妬という感情がイマイチわからなかった。
「でも、なんか………大佐にしゃべりかけてる人間みんなに腹が立つっていうか…」
もごもごとそんなことを言うエドワードに、ロイは苦笑した。
そういうのを、嫉妬と言うのだよ、と。
そう言って、エドワードのことを優しく抱きしめた。