後編


はじめての射精にこんどこそ腰がたたなくなったラインハルトはがりがりと木の皮を傷つけながらその場にへたりこんでしまった。
足元にひっかかったズボンとパンツが邪魔だ。目頭が熱くて、俯いたままのラインハルトはその雫をぽろりと地べたに零した。
「はぁ、はぁ……」
荒い息を整えながら見上げると、口元を手でぬぐいながらキルヒアイスがこちらを見ていた。口元だけで笑う、嫌な笑みを浮かべたまま。
「まだですよ、ラインハルトさま。」
「な、なにを…これ以上…」
「気持ちよろしかったでしょう?射精ははじめてですか?」
「しゃ、せい…?」
「おちんちんから精液と呼ばれる白いねばねばを吐き出すことです。気持ちよすぎて耐えられなくなった時に出すものですよ?」
なぜこうも恥ずかしいことがいえるのか、とラインハルトは罵倒したかったが、どうしてもそれが出来なかった。自らが半裸の状態では、何を言っても無意味な気がした。
「ラインハルトさまは本当に可愛らしいお方だ…」
「キルヒアイス…おまえ、変だぞ…」
「どこかですか?」
「さっきから可愛い可愛いなどと………」
「ラインハルトさまは可愛いですよ。可愛くてお美しくて、愛おしい方です。」
キルヒアイスは言いながら、へたりこんだラインハルトを優しく抱き締めて、そのまま脱がせた上着の上にそっと寝かせた。その身体に跨って、キルヒアイスは唇を耳もとに沿わせて続ける。
「わたくしはラインハルトさまが好きですよ。」
「俺だってお前が好きだ。」
「ならば、続けましょう。」
意味がわからない、ラインハルトが言いかけたとき、またもねっとりとキスをされた。舌と唾液が入ってきて、ラインハルトは無我夢中で飲み干した。その間にキルヒアイスの大きな手はラインハルトの股間へ伸び、まだ少しだけ濡れたそこからさらに指を這わせて奥へ進んだ。びくっと驚いたラインハルトはキスの後に叫ぶ。
「ひやぁッ、ど、どこを触っている!?」
「どこって……肛門ですが。」
「……!!」
キルヒアイスが冷静に答えるものだから、ラインハルトは逆に恥ずかしくなって目をそらした。キルヒアイスは、自らの指を、その穴に挿入する。締め付けのきつ過ぎる内部を刺激して反応を見ると、ラインハルトは不快そうに眉をよせていた。
「やめ、ろ……!」
「やめませんよ。気持ちよくしてさしあげますからね。」
キルヒアイスは言うと、指をくいくいと動かしてそこを拡張しようとする。内壁をいじられて、ラインハルトは初めての異物感に吐き気を覚えた。気持ち悪い。キルヒアイスは指をそっと2本に増やして、ラインハルトの首に舌を這わせた。
「ひぃんッ…」
指に力を入れて動きをはやめながら首を舐め、わずかに力の抜けたそこに指をさらに一本挿入する。指の動きを速めると、ラインハルトの声色が明らかに変わるところがあった。
「ぁッ…ぁあんっ!」
「わかりやすくていいですね、あなたは…」
そこをもう一度、指で優しくひっかくと、ラインハルトは女のように高くか細い声をあげた。
「ひやぁんっ…そ、そこっ、なんかいやだ…」
「こちらが気持ちいいのですね?」
キルヒアイスは満足げに頷くと指先でそこを何度も刺激した。触ってもいないラインハルトの股間にまた硬さが戻ってくる。ラインハルト自身も、そのことを感じた。たまらなく気持ちがよくて、お尻を突き出したい衝動にかられるのを我慢する。そのうちキルヒアイスは指を一気に引き抜いて彼から離れた。ラインハルトがちらっと彼を見る。赤毛の少年は飲みかけの苺ミルクの缶を手に、笑っていた。
「お飲みになりますか?喉が渇いておいででしょう?」
一瞬その笑顔は普段のキルヒアイスのものだったので、ラインハルトは嬉しくて両手を伸ばしてうなずいた。が、彼に跨ったままのキルヒアイスは手の届かぬところへ缶をのけて、今度は嗜虐的に唇を歪めてみせた。
「たっぷり飲ませてさしあげます。」
キルヒアイスは缶を傾けて、冷たいそれをラインハルトの性器にかけた。ピンク色の液体と真っ赤な苺の果汁のどろどろが性器にからまる。そしてそれはラインハルトの肛門にまで達した。
「ひやぁっ…」
「ひくついておられますね…うまく飲めないから…」
キルヒアイスは、苺ミルクで汚れた肛門の周りをぷにぷにと押して刺激した。その入り口はラインハルトの理性を無視してひくひくと卑猥な動きをしていた。
「やっ……いやだぁ…」
「たっぷり飲ませて差し上げますね。」
キルヒアイスは言って、長いストローを取り出した。
缶ジュースの中を吸い上げて、その先をラインハルトの後孔に深く突き刺した。ぶぅ、とストローから苺ミルクを、腸壁内へ送り込む。
「ぃい゛ッ…ぁ……」
ラインハルトが苦しげに呻く。キルヒアイスはストローを引き抜いて、またストローでジュースを吸い上げる。だらり、ともうすでにそこから液体が漏れていたが、キルヒアイスはすぐにもう一度、細いストローを突き刺した。びくつくラインハルトの体。
そうして、缶は空っぽになった。ラインハルトは眉を寄せている。
「うっ………うぐぅぅ…」
腸内を満たす液体に圧迫されて、肛門がひくつく。下腹部に、あの独特の痛み。力を抜けば終わりだとラインハルトは思った。
「き、キルヒアイス……」
自らの足元に跨った赤髪の少年に視線を向けて、ラインハルトは掠れた声で呼んだ。なんですか、と軽く答えるキルヒアイスにラインハルトは頬を染めて、
「キルヒアイス…そこをどいてくれ…」
「どうしてです?」
「トイレに………」
大量の苺ミルクで腸内を満たされたラインハルトは今朝から便通がなかったため、この刺激に対しての身体の反応は早かった。強烈な便意に襲われ、今すぐにでもここからトイレへ向かいたかった。けれどキルヒアイスはそこをどいてはくれなかった。
「その格好で行かれるのですか?」
「それは……あの…」
「誰かに会ったらどうするおつもりです?」
「で、でも……もう……」
もぞもぞと脚を閉じようとするラインハルト。キルヒアイスは、彼の股の間に身体を滑る込ませてそれを阻止した。
「んんッ…」
苦しげな声が、ラインハルトの口から漏れる。
「たのむ、から…」
「ラインハルトさま、ならここですればいいじゃないですか。」
さらり、と乾いた顔で言われてラインハルトは瞳を大きく揺らした。
「な、なにを…」
本当は怒鳴ってやりたかったがあまり変に力をいれると危なかったから、その声は力のないものになった。
「この場でどうぞ、と言ったのです。何ならお手伝いいたしますが。」
言い終わるより先に、キルヒアイスはその手でラインハルトの下腹部を撫でた。撫でて、そっとそこを押す。
「やあぁっ!」
悲鳴が響く。キルヒアイスは、遠慮ならさずに、と言いながらさらにそこに刺激を加える。
「やッ、やぁあんっ…そ、そんなっ酷……」
「酷いなどと……ほら、わたくしは気にしませんから。」
言って、ぎゅうぎゅうと下腹部を押し付け続けると、ラインハルトは唇を噛んで泣きながら小さく呻いた。肛門がきゅうっと開いて、そこから苺ミルクにまみれたものが出てきてあたりにそのにおいが立ち込めた。一度出ると、もう止めることは困難でラインハルトのさめざめとした泣き声と、ぎゅるぎゅると止まらない便。最後に肛門から苺色のミルクがだらりと漏れて、挙句、前の先端から透明でも白濁でもない、黄色くにごった液体を零してしまった。
「ラインハルトさま…浣腸されて後ろだけでなく前も汚されて…」
キルヒアイスは、普段気品に満ち、昂然たる態度を崩さないラインハルトのあられもない姿に高揚した。彼自身、もう下半身が痛いほど熱くて苦しい。
ラインハルトは真っ赤に目を腫らすほどに泣いて、キルヒアイスはその大粒の涙を首を伸ばしてそっと舌ですくった。
「く、くさぃ…」
「臭くなどありませんよ。ラインハルトさま……」
うっとりと、彼は愛しい人の名前を呼んで、その唇を味わった。
「ラインハルトさまの香りがしますよ。」
「ッ……!!ひぐっ……ぐずん、んぐっ…えぐぅ…」
ラインハルトはとうとう声を出して泣き出してしまった。赤ん坊のように、鼻水をたらして唇から唾液を零して泣く。肩ががたがたと震えていた。
「あぁ、ラインハルトさま……綺麗な瞳が潤んで、零れ落ちてしまいそうですね…」
キルヒアイスはラインハルトを抱き上げて、少しだけ移動させるとまた地面にそっとその身体を横たえた。ラインハルトは目を腕で覆って顔を隠してひらすら泣き続けた。キルヒアイスは自らのベルトをとき、ズボンと下着をおろして熱く猛ったそれをとりだした。軽く、ラインハルトの腰を持ち上げて脚を大きくひらかせると、便と苺ミルクと尿で汚れた肛門が月の光の下であらわになる。そこは外気に触れてひくひくと蠢いていた。キルヒアイスは自身の性器の先端を宛がった。亀頭はすでに濡れそぼっていて、ずるり、と挿入すると泣き喚いてばかりいたラインハルトの体が跳ね上がった。
「ひぃんッ…」
「ラインハルトさま……お顔をお見せください…」
両腕で顔をかくしているのを、キルヒアイスは取り除こうと手を伸ばした。腰をすすめるとじゅぶじゅぶと音がするがキツくてなかなかすすめない。ラインハルトは目の部分を覆い隠しながら、唾液を零して低く呻いた。
「ぁッ…がぁ……いぃッ…」
「ラインハルトさま、力を抜いてください…」
内壁がキルヒアイスを締め付けて苦しめる。彼はとりあえず腕はあきらめて、ラインハルトの腰の辺りをそっと撫でた。下腹部を舐めて、徐々に姿勢を下げると、ラインハルトの中心部に辿り着く。その先端にキスをしてやると、一瞬息を吐き出したラインハルトの内壁がわずかに緩んだ。その隙に、キルヒアイスはいっきに奥まで侵入を果たした。
「ぁあッ…!!」
ぐちゅぐちゅと中で音がするのは、キルヒアイスやラインハルトの体液のせいだけではなかった。中に、まだ苺ミルクが残っているらしい。卑猥な音が、キルヒアイスの腰の動きを表していた。それは当然、ラインハルトの耳にも届く。卑猥な音と、内壁を強くこすって、奥を抉り取られる感覚。身体が浮いてしまいそうなほどの衝撃は、さっき指で刺激されるよりもはるかにはっきりとしていて、ラインハルトは焦った。声が我慢できなくて、頭の中が考えたこともない妄想で埋められてめまぐるしく動く。キルヒアイスの性器の大きさを、自分の中で蠢く増大な感触から頭に思い描いて、それだけで彼は前を硬くした。自分よりも大きいであろうそれを動かして、ぐじゅぐじゅと生々しい音をたてながら、キルヒアイスは荒い息を漏らしていた。ラインハルトの頬に熱い液体がかかって、彼は腕の隙間からそっと覗き見た。熱っぽい表情で唇を少しだけ開いたキルヒアイスが、その美しい髪を汗でべったりしめらせていた。彼の汗が、ぽたり、とラインハルトの肌を濡らす。
「っ…キ、キルヒアイス……」
「ラインハルトさま……」
そっと、彼の顔をおおっていた腕を、キルヒアイスは優しく解いた。白磁の顔に汗が浮んで、頬は上気していた。唇はこぼれる唾液でべたべた、瞳はうるんで白目は真っ赤で。
その表情にキルヒアイスは律動を早めた。容赦なく腰を打ち付けると、ラインハルトが鳴き喚いた。
「きゃぁあんッ、ひぁっぁああんッ…!!」
「ラインハルトさま…ラインハルトさま……」
キルヒアイスは夢中になって名前を呼び続けた。ラインハルトの中は温かくて、キルヒアイスのそれをきゅうきゅうと締め付けてくる。彼はラインハルトの汗で濡れた肌を抱き締めた。下腹部に、硬いものがあたる。それはラインハルトの勃起した性器で、そこはもう大量の先走りでびしょびしょだった。キルヒアイスが後ろで出し入れすると、ラインハルトの性器とキルヒアイスの腹がこすれて、そこの血管がどくどくと脈打っているのを感じた。わざとこすりつけると、んんッと呻いたラインハルトが腕を伸ばしてきた。
「ラインハルトさま…?」
腰の動きは止めないで声を出す。ラインハルトは朦朧とした頭で小さく何かを呟いて上体を軽く起こすと、ぎゅっとキルヒアイスを抱き締めた。密着度が増して、交わりが更に深くなる。ラインハルトの濡れたそこを、彼は腰を振ってキルヒアイスの腹部にこすりつけた。くねくねと卑猥な動きをして、ラインハルトはまた小さく呟く。吐息に混じった声音のそれを、キルヒアイスは今度は至近距離で聞いた。
「き、きもちぃ…」
瞳を快楽でとろけさせたラインハルトは自ら腰を振りながらキルヒアイスの唇に唇をかさねた。おどおどと、その舌を挿入してくる。キルヒアイスはのそれは質量と硬さをさらに増して、その下手くそなディープキスに優しく対応する。絡めてくるラインハルトの短い舌を丸め込んで、そのままラインハルトの口の中で愛撫する。唾液を何度も交換して、お互い何度も飲み干した。
「ぁッ、ああぁんっ…」
唇を離して、ラインハルトが声を出す。
「ひやぁん、も、だめ……も、う出ちゃうッ…ぁあッ…」
「ラインハルトさま…イク、と…いうの、ですよ…出すときは…」
「はぁあんッ、イ…イクぅ、イッちゃうぅ……!」
ラインハルトは苦しげに眉間にしわを刻んだ。キルヒアイスの首に回した腕。短い爪を立てて、ぎゅっとだきついた。
「わたくしも、もう……我慢、なさらずにイってください…ラインハルトさま…っ」
キルヒアイスも苦しそうに、途切れ途切れに言葉を紡いだ。そして動きをより激しくする。ラインハルトの弱いところを集中して突き上げた。キルヒアイスの腹の腕でびくびくとラインハルトの熱の中心が痙攣する。そして、
「ひぃっ…イっ……きやぁあぁんっ!!」
「っく、ライン、ハルトさま……ッ…は…」
ラインハルトがキルヒアイスの腹に吐精したすぐ後に、荒い息遣いを残したキルヒアイスは、大量の白濁をラインハルトの腸壁の奥へと吐き出した。
「はぁ、はぁ……ラインハルト…さま…??」
ずるり、と射精して萎えた自身のものを取り出すと、ラインハルトの後孔から白濁と苺ミルクがあふれてきていやらしい。キルヒアイスはまたも欲情する自分の頬を平手で叩いて、ラインハルトを抱き起こした。
「気絶…なさった…?」
口元に耳を当てると、ラインハルトの小さい口の隙間、真っ白な歯の見えるそこから規則正しい寝息が聞こえてきた。
「無理を…させてしまいましたね。」
汗ばんだ前髪を払いのけて、その額にキルヒアイスはキスを落とす。
「お慕いしております、ラインハルトさま。」
誰にも聞こえないくらい小さな声で彼はそう呟いて眠りに落ちた金髪の少年を優しく抱きしめた。