はじめに。

ロイエド・アルエド・ハイエド前提アルアル(アルハイ)です。パラレル。

アルフォンス=ファッション誌のモデルさん(バイト。相変わらずショップ店員もやってる)
ハイデリヒ=俳優さん(最近ほんまデリヒとおぐりがごっちゃになってる)
です。
兄さんは普通にヲタクです、その辺は上と一緒。

2人とも、これ以上ないくらい黒いので、すみませ…普通に後半18禁。ヤってます。


前編


ドアを開けた瞬間、帰って下さい、と喉元まで出掛けたのを抑えたのは、なんというか理性の賜だ。
つくづく自分が大人になったと実感するのはこんな時だ。以前エドワードが昼寝中にロイが尋ねてきたときは、口先三寸で追い払った。後でしっかりばれて、こっぴどくエドワードに怒られて、なんだやっぱりあいつのこと好きなんじゃん、と嫌な気分になったことがある。でももうそんな過去のことはどうでも良くて、目下解決しなければならないのは、目の前の宿敵だ。プリクラの中でしか見たことのなかった宿敵が、目の前に。
自分とそっくりな、少しだけ色素の薄いアルフォンスハイデリヒは、プリクラの中で見たのと同じ笑顔を浮かべていた。確かに顔は悪くないけど――これはあくまでアルフォンスの感想――なんか笑顔が嘘くさい。

「兄さんは居ないんですけど」

「じゃあ待たせて貰って良いかな、エドワードさんの許可も貰ってるし。」

低く刺々しい声で、あくまでも建前、言外の本音は「早く消えろ」。アルフォンスの真意は、多分伝わっていただろうが、ハイデリヒは軽く受け流した。ああ、いやだ、とアルフォンスは思った。顔だけじゃなくて、性格まで自分に似ている。
「上がって良いかな?」
「……どうぞ」
と、言うしかない。先手を取られたことを嘆いても仕方がない。これからはエドワードに、僕の許可なしに勝手に人を連れてこないでと念を押すしかない。
「エドワードさんの部屋で待たせて貰っても?」
「……部屋の位置わかるんですか?」
「一応は」
「……お茶入れてきます」
「どうぞお構いなく」
慣れた足取りで、キッチンを抜けてエドワードの部屋に向かうハイデリヒ。むかつく・むかつく・むかつく!同じ顔、同じ性格、余裕ぶった笑顔、慇懃無礼きわまりない口調、自意識過剰なんかじゃない、ハイデリヒが何を自分に言いたいのか、アルフォンスには手に取るようにわかる。

つまりアンタは、僕の知らない間にこの部屋に来たことがあるって事だろう。

むかむかしすぎて、紅茶のカップを割りそうになって、アルフォンスは我に返る。雑巾茶にしてやろうか、とポットを目の前にしてアルフォンスは真剣に考えたが、そんなものを出したら、「アルフォンスくんは紅茶入れるの下手なんだね」とか言われるのが目に見えているから止めた。
頭が、痛い。

結局雑巾茶もマヨネーズ茶も諦めて、普通に美味しい紅茶を持って行った。負けた気がするのは何故だろう、と思う。何故か悔しい。
「うち、禁煙なんですけど。」
紅茶を持ってエドワードの部屋のドアを開けた瞬間、流れ出てきた紫煙に顔を歪める。しかも妙に独特な匂い。
刺々しいのを取り繕う気にもなれない。
「ああ、ごめんごめん。前来たときエドワードさん何も言わなかったから」
「誰かさんが怖かったから言えなかったんじゃないですか。」
「……アルフォンスくんて、僕のこと嫌い?」
「すかれてると思ってたんですか」
素で驚いて、持っていた盆ごと取り落としそうになる。きょとんとした顔で、すごく間抜けなのは解っていたけれど、思わずハイデリヒの顔を凝視した。
「僕は仲良くしたいんだけどな、エドワードさんの弟さんだし」
「……そうですか。僕は嫌いですけど」
よくそんな思ってもいないことで口が回るなぁ、と感心する。嫌悪混じりに。
「アルフォンスくんって歯に衣着せないよねぇ、子供っぽいって言われない?」
「生憎、相手を選びますので」
「そっか、じゃあ要らない心配だったみたいだね。」
紅茶ここに置いておきますね、と言うのと同じ調子でさらりと返す。ハイデリヒは怯む様子はなく、アルフォンスも負けるつもりなんか毛頭ないから、一見模範的な会話の中で、お互いの間に流れる空気は冷え切っている。
「人の心配なさるより、ご自分の心配なさった方が良いですよ。本人がいないときに家に上がるとか、印象悪いですし」
「ご忠告ありがとう。でも余計なお世話だよ。お子様にそんな心配されたくないから」
あくまで笑みは絶やさない。たぶん、先に切れた方が負けなのだ。不意打ちでハイデリヒを迎えた分、アルフォンスの方が分が悪かったけれど。
「なんか、すごく、むかつくんですけど」
「そう?僕はエドワードさんの弟さんとお話しできる機会が持てて嬉しいけど」
「僕は全然嬉しくないんで。僕としては、早く帰って頂けると嬉しいなーとか思ってるんですけど」
「……アルフォンスくんて、お兄さんに似合わず可愛くないね」
「ありがとうございます。少しの間ハイデリヒさんが息をしないで居てくれると、もう少し僕も愛想を振りまけるんですが」
「うわー、可愛くない」
笑顔というより、どちらかというと顔の筋肉をひきつらせている、と言った様相で2人の応酬。言葉が切れると、お互い無表情でにこりともせず視線を外した。
「ねぇ、そんなにむかつくなら出て行ってくれないかな。僕はエドワードさんが帰ってくるまでここで待ってるわけだし」
「なんであんたに命令されなきゃ駄目なんですか。むかつくならあなたが帰って下さい」
「………可愛くないガキ」
ぽそ、と呟いたハイデリヒの言葉に、アルフォンスが視線を戻す。瞳は完全に体温を失っていて、口元だけが違う生き物のように、最小限動く。
「口、塞いで良いですか」
ハイデリヒが、口の端だけつり上げて笑った。
「…できるものなら、どうぞ?」